猫を迎えて、最初に気になるのが壁や家具を傷つけないか心配だという声です。
困ったことに”壁” や”家具”は猫の人気爪とぎスポットになりがちです。
「リビングがボロボロになるのは嫌!」
「迎え入れる前に傷防止策をしたい」
「どんな爪とぎがあるのか知りたい」
猫の爪とぎへの悩みはこれで解消!
愛猫を迎え入れる前に最初に知っておきたい飼い主も愛猫も満足できるような爪とぎアイテムや防止策を紹介していきます。
何故爪を研ぐのか?
猫の爪は「引っかくためだけのもの」というイメージが強いかもしれません。
しかし、走ったり駆け上がったりするときはスパイクとなり、
狩猟の場面では、獲物を捕まえたり、自己防衛したりするための武器となるなど、様々な役割があります。
犬とは異なり、爪を自由に出し入れすることもでき、用途が広く使い勝手が良いのです。
猫はこまめに爪を研ぐことで、その鋭さをキープしています。
そのため壁やカーペット、さらにはソファを容赦なくバリバリされることがないように
専用の爪とぎを適当に設置するのではなく、猫が気に入る位置・仕様の場所に爪とぎを設けてそこに誘導していきましょう。
マーキングとして
猫の肉球には汗腺があるため、引っ掻いた場所にはニオイが付着します。
つまり、爪とぎは自身のテリトリーをアピールする行動でもあるのです。
他の猫や人間が見ている前で激しく爪を研いでいるときは
「ここは吾輩の縄張りだ!」と主張しているのかもしれません。
また、猫は自分を大きく見せるために背伸びをするように高いところで爪を研ごうとする習性があります。
ストレス発散として
猫はストレスの発散や気分転換として爪とぎをすることがあります。
ストレス要因は様々ですが、次のような状況が考えられます。
・環境変化(引越・模様替え・来客等)
・運動不足
・かまってもらえない寂しさ
爪とぎをやめさせることはできない?
爪とぎを辞めさせるということは残念ながら猫の本能でもあり、それ自体をやめさせることは不可能です。
また、猫の爪とぎには古くなった爪の外側の層を剥がす、爪を刺激して気分転換をするといった目的があり、
猫にとって必要不可欠なルーティーン行動です。
そのため、家具や壁での爪とぎを防ぐためには、”されない工夫” をするしかありません。
例えばソファで爪とぎをするなら、猫からソファを取り上げてみます。
といっても、それでは人間の生活に支障が出てしまうので、よく爪とぎをされる場所にカバーをかけたり、
思い切ってツルツルしたソファに変えたりするなどして”されない工夫”を行なってみましょう。
猫が爪とぎしたくなる場所とは?
猫はテリトリー意識が高く、匂いや音などの不審なものの侵入によってストレスを感じると
爪とぎをするので特に人の出入り口など空間の変わる場所は爪とぎスポットになりやすいです。
気に入った場所がないと、ドア枠など交換が難しい場所やもので爪を研いでしまうので注意しましょう。
出入り口や寝床の近く
部屋の出入り口や目立つ角など、場所の性質が切り替わるところに爪とぎを設置すると、猫は使ってくれます。
また、たいていの猫は眠りから覚めると、伸びと爪とぎをします。
その為猫が寝床から出てきた時に目につくところに置いてみるのも良いです。
凸凹の多い部屋や窓や開口部周り
猫はマーキング習性から、部屋の凸凹箇所を爪とぎ場として認識してしまいます。
また、シンプルな平面形状の空間では開口部廻りにしか爪とぎができる場所がないので
爪とぎ用の柱や大型の爪とぎを新たに設置する必要があります。
どんな爪とぎが猫は好きか
猫によっても爪とぎの素材に好みがあるので様々なものを試してみると良いです。
また、興味を持ってもらう為にマタタビ粉を爪とぎ器にふりかける手もあります。
(ただし、マタタビが好まない猫もいるので注意が必要です)
ほかにも、覚えてもらうためにも猫の前足を持って爪をだし、
爪とぎ器にあてて「ここで研ぐんだよ」と優しく教えてあげる方法も効果的です。
ただし、嫌がる猫に無理やりするのは逆効果なので注意しましょう。
爪とぎの素材にも猫はこだわりがある
少し引っかかりの良いダンボールも爪研ぎには最適です。
ダンボール素材は安価で手に入り、使い終えた後は燃えないゴミとして出せるので経済的かつ衛生的です。
麻布・麻縄・綿ロープも猫には人気です。
引っ掛かりが良く、研いだ後に素材が飛び散りにくいのでお掃除も簡単です。
木材では、キリ材やオリーブ材、パイン材などの針葉樹林系の板が柔らかいので猫には好まれます。
気にいる形状を探してあげよう
爪とぎ器はいろいろな種類のものが販売されています。ここでは3つのタイプの爪とぎ器を紹介します。
1.最もポピュラーな「床置き型(箱型)」
2.円柱に麻縄を巻く「縦置き型(丸太型)」
3.壁の角に張りつける「コーナー柱型」
爪とぎ器のサイズは、猫が乗れる幅(体の幅の2倍、約200mm以上)位が適正です。
また、力を入れて引っ掻いても動かないようにしっかり固定することが重要です。
「床置き型(箱型)」
床で研ぐのが好きな猫には床置き型がおすすめです。
省スペース性が優れている反面、設置安定性に劣る為、
猫が乗れる位大きいもの、滑り止めがついているものなどを選ぶと良いでしょう。
また、爪とぎ器をほんの少し上り勾配にしておくと喜ばれます。
「縦置き型(丸太型)」
背伸びしながら爪を研ぐ猫には、縦置き型がおすすめです。
縦置き型は床置き型に比べて、ぐらつきやすく安定性に欠けるので、
購入の際は、低重心の安定設計のものを選ぶようにしましょう。
「コーナー柱型」
家の柱や家具の角で爪を研ぐクセがある猫にはコーナー柱型がおすすめです。
家具を守りつつ、猫好みの場所で爪が研げるところが嬉しいポイントです。
場所によっては設置が難しい場合もあるので、取付条件などをよく確認して購入するようにしましょう。
布製・壁づけの爪とぎの場合は、板に布を巻いてから取り付けます。
布の端部をホッチキスや釘で留めるとたるみにくく、巻きやすいです。
壁や家具を傷つけないための防止策
猫を迎え入れる前に対策をしておけば壁や家具など傷つく心配がないように、
様々なアイテムで準備を万全にしていきましょう。
壁保護フィルムシート
前述でもお伝えした通り、猫は、引っかかりやすい素材を好みます。
そのため、ザラザラした壁紙などは背伸びをした際にちょうど爪とぎをされてしまいます。
壁保護フィルムシートを設置することで、床から100センチ位(猫が背伸びをしても十分防げる高さ)
までを保護することが出来ます。
材質はツルツルをしていているので猫爪が引っ掛かりにくく、傷防止に効果的です。
また、貼ってはがせるタイプのものもあるので、賃貸にも安心して使用できます。
ただし、コンクリートや合板など貼れない壁の材質もあるので購入する前に注意しましょう。
活発に室内を走り回る猫ちゃんには、床にもフィルムシートを貼っておくと、
フローリングに傷がつきにくく、汚れ防止にもなるのでオススメです。
定期的に爪を切る
猫にとって大事な役割をもつ爪とぎですが、飼い主さんがこまめに爪を切ってあげることも大切です。
1か月に1度くらいの爪切が猫の爪傷対策や飼い主の感染症予防につながります。
外で暮らす野良猫は、木に登ったり、獲物を捕まえたりして自然と爪が伸びるのを防ぐことができますが、
室内で飼っている猫は、そのような機会がありません。
猫の爪が伸びすぎると、肉球に刺さり、化膿を引き起こす他、折れて出血するリスクも高まります。
また、猫に引っ掻かれると、傷だけでなく「猫引っかき病」という熱や倦怠感などを伴う、リンパ節が腫れる症状がでることもあります。
1日2、3本ずつでも良いので爪先から2〜3mmの部分を切ってあげるようにしましょう。
代用品や報酬で問題行動が減る
壁や家具などに爪とぎをされると、つい「コラ!」と叱ってしまいがちですが、
猫には怒られる理由が分からないので、飼い主に不信感をもつ可能性があります。
叱る事でその場所での爪とぎは少なくなるかもしれませんが、
それは「といではいけない」というルールを理解したからではなく、嫌な思いをしたくないからです。
猫にしてほしくない行動がある時には、強引にやめさせるではなく、
原因になっているものを取り除き、他の行動をするように誘導するのが正解です。
猫の習性や好みに合わせた爪とぎを設置してみて、
猫がそこで上手に爪とぎをできたら、すぐに褒めてあげましょう!
おやつなどの報酬を与えるのも良いでしょう。
これを繰り返す事で、「ここで爪とぎをとぐと、良いことが起きる!」と気づき、
飼い主の望む場所で好んで爪とぎをしてくれるようになります。
これは爪とぎだけでなく、困った行動をやめさせたいときにも効果的なので、試す価値ありです。
猫が満足する爪とぎで、猫も人も快適に
猫は”快適な環境”を何よりも重視する動物です。猫が一日中室内で過ごすのであれば、
住居の中に猫のための運動スペースやアメニティの場が必要となります。
しかし、猫の生態や体の大きさなどを理解していないと、猫が満足する環境はできません。
猫はストレスを感じると、床や壁で爪とぎを始めたり、突然粗相をしたりと問題行動が増えることもあります。
結果、共に暮らす飼い主との住環境も不満足のものになってしまいます。
「猫ファースト(猫最優先主義)」の住まいづくりを心がけることで、
猫だけでなく、そこに住む家族の満足度も上がることになります。
爪とぎは様々な形状や素材があるので愛猫に合ったアイテムと習性を理解し、
対策防止をして愛猫も飼い主も快適な猫ライフを過ごしましょう。