猫を最近飼い始めた方や、野良猫を飼うことになった方など、
愛猫を迎え入れる前に色々準備してきたにも関わらず
「手や足を噛まれて困っている」
「愛猫にたくさん愛情を注いでいるつもりだけど、
噛んでしまうのは何故だろう?」
「噛むのは戯れているの?嫌がっているの?どっちだろう?」
「猫に噛まれた後の対処法は?傷口から病気になることがある?」
など様々な疑問をよく耳にします。
これらは猫の習性や性格をよく理解していれば、未然に防げることもあります。
理由や対策、しつけ方法などを愛猫を飼って7年の先輩猫主が実体験を踏まえて紹介していきます。
なぜ噛むの?
ネコ科の動物にはもともと狩りを行う習性が備わっています。
特に猫は狩りの欲求がとても強い動物なので
ご飯中であっても、獲物を見つけると、反射的に飛びかかってしまいます。
そのため、猫が噛むという本能的な行為を、しつけでやめさせることは至難の技です。
適度に、狩りのできる場所があればいいのですが、
自由に外出させてしまうと交通事故や感染症などのリスクがあるため、
おもちゃを見立てて動かし、狩りを疑似体験させてあげることが重要になってきます。
ストレス
猫は適応能力の高い動物ですが、小さな不満が積み重なると、人間への攻撃などの問題行動を
起こすケースが多々あります。
猫がストレスなく、のびのびと楽しく暮らせるように、環境を整えることも大事なことです。
対策
猫にとって居心地がよいポイントを把握し、住まいの中に猫が好きそうな場所を点在させる
おすすめの場所
●周囲を見渡せる
高い場所から見下ろす位置にいる猫は、
低いところにいる猫よりもその場の上下関係では優位となるようです。
収納棚の上や屋根の上などは、見張り台と感じられるので、
そこを落ち着く居場所と認識します。
●野外の様子を眺められる
出窓付近にクッションを置いて居場所にしたり、
バルコニーに転落防止ネットを張って居場所にしたりすれば、
猫にとって外の様子を観察して楽しめるお気に入りの場所になります。
●ぬくぬくと暖をとれる
適度に暖かい場所を好むため、
テレビの周辺やDVDデッキの上、車のボンネットの上などは、
高さと暖かさを兼ね備えた場所を心地よく感じます。
特にテレビの周辺は、みんなに注目されている気分も味わえ、
お気に入りスポットになりやすいので、付近に
キャットタワーを設置するのもオススメです。
刺激不足
愛猫がダンボールやビニール袋などをガジガジ噛んでいることはありませんか?
この食べ物以外を口にする行動は「異嗜(いし)」と呼ばれています。
異嗜は遊びの一環で行うこともありますが、誤飲のリスクがある為、注意が必要です。
猫によっては、ペットフードを噛んだり飲み込んだりするときの刺激が足りなくて異嗜をすることがあります。
また、子猫は歯の生え変わり時期にムズムズして噛むこともあります。
誤飲や破損しないような代替えできるおもちゃで適度な刺激を与えてみるのも良いでしょう。
対策
噛むおもちゃで適度な刺激を与えてあげる!
オススメ:ゴム製のものやぬいぐるみ、マタタビの木など
興奮すると理不尽に八つ当たり
猫に限らず、多くの動物は怒りをコントロールするのが苦手です。
人間でも気にくわないことがあると、人や物に当たることもあるように、
猫もそのイライラを第三者に容赦なくぶつけてきます。
ポイント
威嚇するほど興奮している場合は、少し離れたところで見守る
体の不調の訴え
どこかに傷がある、体調がすぐれない時など触ろうとすると
その痛さやイライラから警戒して噛むこともあります。
対策
・普段の様子や体を日頃からチェックする
・定期的に病院に連れて行く
撫でられすぎ or 構って欲しい
猫は構われすぎるのがイヤなら、放って置かれるのもイヤというとても自由気ままな動物です。
特に愛情いっぱいとばかりに撫ですぎると嫌がられて噛むこともあるので要注意。
逆に構って欲しい時に噛んでくることもあります。
勉強中や新聞を読んでいると、横にどっかり座ってくることはありませんか?
猫は『構って欲しい!』、『遊んでほしい!』というときに
邪魔をしたり、手を甘噛みしたりしてアピールすることがあります。
そんな時は出来るだけ遊び相手になってあげましょう。
難しいようでしたら、机の上や近くに箱をおいて猫に入ってもらうのもいいでしょう。
作業の合間に見つめてあげるだけでも、猫は満足するものです。
そして、飼い主自身も愛猫のまなざしに癒され、意外と作業効率が上がるかも?しれません。
対策
愛猫の様子を伺いながら、適度な距離感でスキンシップをとる
猫に噛まれた後の対処方法
猫の噛む力は強く、ネズミを一瞬で仕留めるくらいの威力があります。
いざ噛まれると、とっさに引き抜こうとしてしまいがちですが、
さらに離さないように力が入ってしまうので、逆効果です。
噛まれたら、口の奥まで押し込み、吐き出させる形で取るようにしましょう。
また、噛まれた場合は、特にひどい怪我になっていなくても注意が必要です。
猫の口腔内は雑菌が多く、衛生的にもよくありません。
万が一噛まれたら綺麗な流水ですぐ洗い流しましょう。
噛まれたことで病気にもなることがあるので、痛みが出てきたり、化膿したりしたら
お医者さんに診てもらいましょう。
噛む理由が分かれば、それに合わせて対応してあげれば噛むことが少なくなるケースが多いでしょう。
しかし、それでもなくならない場合は、大きな音や水鉄砲で水をかけるなど少し驚かせることで
『噛むと天罰がある…』と記憶し、噛まなくなることがあります。
また、「噛んではいけない」という飼い主の意思表示をすることも大切です。
噛みそうな時や噛んだ後も、猫の興奮を鎮めるためにも、
できるだけ落ち着いた低い声で叱るようにしてください。
大声で怒ったり、体罰を与えたりすることは
猫にとって恐怖を与えストレスとなるので冷静に対処するようにしましょう。
噛まれたら気をつけたい病気
猫引っ掻き病
原因菌は、猫の口腔粘膜、血液、目やになどから検出されるものです。
多頭飼いしている場合は、猫のノミの排泄物によって感染するので猫同士が舐め合うことによって
排泄物を摂って、猫の中で繁殖します。
一方、人へは猫の引っ掻きや噛んだりすることによって傷口から感染します。
症状は噛まれた3日〜10日のうちに痒みや腫れの症状が出ます。
手洗い・消毒はしっかりし、要因の中で予防できるようなものについては、取り去っておきましょう。
パスツレラ症
猫はほぼ100%、爪にも約20%の割合で保菌されていることが確認されています。
しかし犬や猫ではほとんど症状を起こしません。
まれに猫で肺炎を起こしたり、咬み傷からの化膿症の原因菌となったりします。
近年、日本では人のパスツレラ症(pasteurellosis)の患者発生が増えています。
傷口から早ければ数時間で患部が腫れ、痛みや発熱を伴います。
関節に近いと関節炎や免疫低下の場合は、重症化するリスクが高まりますので、
違和感を感じたらすぐ病院を受診しましょう
その他
カプノサイトファーガ感染症
犬や猫に咬まれたり、引掻かれたりすることで感染します。
症状は、発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などです。
今までに報告されている患者数は非常に少ないことから、
本病は極めて稀にしか発症しないと考えられます。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニ媒介の感染症であり、発症している猫から噛まれたり引っかかれたりすることで人に感染します。
発症すると、発熱・消化器症状(嘔吐・下痢等)等の症状が現れます。
対策をしっかりとって猫とのハッピーライフを
猫にとって噛むということは本能的な行動で、自己の感情表現でもあります。
愛猫のことをしっかり理解し、愛情を注いでいるつもりでも
猫の耳が後ろになり、尻尾をパタパタと振っていたりしたら嫌がっているかもしれません。
猫の気持ちファーストで、スキンシップをとるように心掛けるようにしましょう。
ボールや猫じゃらしで遊んでストレス発散しながら、猫との信頼関係を築いていくことで、
噛む行為も次第に減っていくことでしょう。
最初のしつけは根気がいりますが、猫が過ごしやすい環境が整えば、
飼い主も猫も快適な猫ライフになること間違いなしですので、噛みグセがなくなるように色々工夫していきましょう。