飼い始めて数ヶ月、最近なんだか愛猫の様子がおかしい…なんて思ったことはないでしょうか?
「鳴き方がいつもより大きくて変な鳴き方をする」
「外に出たがるのは何故?」
「色んな所におしっこをして、臭いもきつい…」
と、様々な行動は実は発情期が原因ともいえます。
そんな猫にとっては当たり前の発情行動が、人にとっては困った事態になることも。
このような発情期に見られる問題行動は去勢・避妊手術を行うことで、軽減されることがほとんどです。
猫にとっても飼い主にとっても問題行動を解決され、他にも病気予防などたくさんのメリットがあるので
是非検討してみてください。
去勢・避妊手術のメリット・デメリット
猫を飼う場合は、不妊手術(去勢・避妊手術)を推奨されています。
メスは年に数回、発情期がやってきます。発情期を迎えると、メスは大きな声で鳴き、
オスは部屋中に独特な匂いのマーキング(おしっこ)をします。
それらの発情行動は不妊手術をすることで軽減され、病気の予防にもつながります。
去勢・避妊手術のメリットは、以下のようなことが挙げられます。
メリット
- 妊娠の予防… オス・メスともに繁殖能力がなくなるので、望まない妊娠、出産が防げます
- 生殖器系の病気の予防… メスでは子宮蓄膿症や卵巣腫瘍、乳腺腫瘍の予防、オスも精巣腫瘍などが予防できます。
- 問題行動の軽減… オス、メス共に発情行動しなくなる。オスは喧嘩やマーキングの改善の可能性も。
デメリット
- 太りやすくなる… ホルモンバランスの変化や活動量の低下で肥満になりやすいので、食事管理はしっかりと。
- 全身麻酔のリスク… 全身麻酔によって予測しないリスクが生じることもあるので、術前に検査を受けましょう。
手術費用は?
手術費用は、オスの去勢手術なら5000円〜20000円、
メスの避妊手術は、10000円〜40000円がおおよその相場と言われています。
他に、麻酔の費用や入院の必要な場合や病院によっても金額が異なりますので、
細かい費用については、事前に病院の先生などに問い合わせてみましょう。
私の場合、メス猫を生後2ヶ月から飼い始め、6ヶ月頃に避妊手術を行いました。
元々基礎疾患で通院していたのもあり、2泊3日の入院で費用は40000円程かかりましたが、
一般的には1泊2日やオス猫の場合日帰りなど、費用が抑えられることもあります。
去勢・避妊手術には助成金が出る場合も
なかなか手術費用が高くて迷っている方は、全国の市町村、または自治体以外の獣医師会でも去勢・避妊手術の一部金額を負担してくれる場合があります。ほとんどは飼い猫ではない猫が対象にはなりますが、中には飼い猫でも助成金を出してくれる所もあるのでお住まいの市町村、または都道府県の獣医師会で調べてみましょう。
手術はいつ頃したほうがいい?
一般的に手術ができるのが生後5ヶ月以降といわれています。
また、早いうちに手術することで傷口が小さく済み、回復も早いこと、
発情期が来る前にしておくことで、部屋中にマーキングをすることが無くなります。
一度経験した後では、治らないこともあるので最初の発情前がベストタイミングです。
猫の体調や状態などを獣医師さんと相談しながら手術するかどうか相談してみましょう。
発情中には血管が太くなることから、特に開腹手術では出血量が多くなりやすいため、
無発情期に手術を行うことが望ましいでしょう。
実際手術の際は、麻酔なしですることはなく、全身麻酔を使用します。
オスの去勢手術
術前に健康チェックや検査を行い、全身麻酔をかけて行います。陰嚢を切開して、
左右の睾丸を両方摘出します。
傷口が小さいので1泊2日の入院か、場合によっては日帰りのケースもあります。
メスの避妊手術
オスの去勢手術同様、術前に健康チェックや検査を行い、全身麻酔をかけて行います。
開腹手術で、卵巣と子宮を摘出するのが一般的な方法です。
術後の安全を考慮し、1泊2日、もしくは2泊3日程度の入院が必要になるケースが多いです。
手術には開腹手術と腹腔鏡手術がある
開腹手術
名前の通り、お腹を開いて卵巣と子宮、精巣を摘出する一般的な手術方法です。
先生が肉眼で確認しながら行えるので手術時間も早く終わり、料金を抑えれることもメリットです。
退院後は、傷口の様子も含めて術後10日から14日ほどで抜糸するのが一般的です。
腹腔鏡(ふくくうきょう)手術
近年注目されている、手術方法の一つです。
お腹に約5mmの穴を縦方向に2~3つ開けて手術を行うため、
開腹手術だとお腹をズバッと開ける分、傷口の大きさが全然違います。
動物への痛みや体への負担が少なく、早期に退院できることが最大のメリットと言われています。
料金は、一般の開腹手術より数万ほど料金が高いのがネックとなっています。
ただ手術中・後の痛み、傷の大きさ、日帰り手術等においては動物にとって心身共に負担の少ない手術となります。
手術後の過ごし方
術後は、激しい運動や、抜糸が取れるまではシャンプーで洗わず、開腹部を舐めたりしないよう
エリザベスカラーを装着したり、メスでは腹帯を巻いて、安静に過ごすことが回復を早めます。
エリザベスカラー(Elizabethan collar)とは、手術、皮膚病、怪我などによる外傷を持った動物が、傷口をなめることで傷を悪化させることを防ぐ為の、円錐台形状の保護具である。
ウィキペディア
不妊手術(開腹手術)では術後10日から14日後に抜糸をし、去勢手術では傷口を縫わない場合もあります。
下記のようなことが起きたらかかりつけの病院へ行きましょう。
- 糸を取ってしまったり、切開部をしつこく舐めたり、いじったりしている場合。
- 食事をほとんど食べられずにいる場合。
- 退院後、激しく痛がったり出血がある場合。
- その他、一般的に健康状態が悪いと感じられる場合。
術後気をつけたいこと
本来、猫は身体能力が高く、その体に無駄はありません。
しかし家猫は運動量が足りなくなるばかりか、去勢・避妊手術後は食べる量をコントロールしていかないと
肥満になる猫も多くいます。
※【どのくらいで肥満猫…?】
猫の標準体重は、個体差はありますが、オスは3kg〜6kg メスは3kg〜5kgと猫種によっても異なるので猫種ごとの標準体重以上になると肥満の恐れがあります。
かつては上ることができたキャットステップが上がれなくなることが
ストレスになる場合もありますので太り過ぎた猫には、できるだけストレスがかからないように、
また怪我をしないように住まいにも配慮が必要です。
また、手術によって性的な活動に使うエネルギーが低下するうえ、食欲が増すことが肥満猫になる原因のようです。
ただし、肥満は食事管理をすることで予防可能です。
他にも、「下部尿路疾患」や「糖尿病」にかかりやすくなるという報告もありますが、
これらは猫の生活環境を整えたり肥満を防いだりすることでリスクを下げることができます。
繁殖を希望しなければ手術の検討を
「猫の去勢・避妊手術はかわいそう…」という理由で猫の去勢・避妊手術をためらう人もいます。
確かに猫の子づくり能力を奪うわけですから、抵抗を感じるのは自然なことです。
しかし、去勢・避妊手術をすることでストレスや問題行動が増えるという研究結果はなく、
猫が「自分の子どもを残せないなんてツライ…」とは思うことはないと言われています。
手術を受けていないと、猫は発情期のたびに「子どもを作りたい」という強い衝動に駆られ、
それを我慢するほうが大きなストレスとなり、それこそがかわいそうではないでしょうか?
愛猫のためにも飼い主にとっても快適に過ごせるよう、猫の体調や家の環境を踏まえた上で、早めの手術を考えていきましょう。